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夕暮 秋鷹
02
scene
<舞台袖>
(文化祭前日、他の役者をかばって怪我をした夕暮をたしなめた主人公。「誰にでも優しくするべきでない」と強い言葉を言ってしまう。文化祭当日の今日、主人公と夕暮は少し気まずい状態だった。
舞台袖の主人公に夕暮が声をかけた。)
<夕暮秋鷹>
「昨日はごめんね。だけどきみに聞いてほしいことがあるんだ、いいかな」
<主人公>
「私こそ言い過ぎました。ーーなんですか?」
<夕暮秋鷹>
「昔、慎夜が言ったんだ。
俺の心は広いから、たくさん人が入れるんだと。
けれど俺もみんなと一緒で、そこには一人だけを入れたいって思ってる。だから」
<主人公>
「……?」
<夕暮秋鷹>
「誰にでも優しくはしない」
<主人公>
「(してるけど……?)」
(夕暮は主人公に向き直る。)
<夕暮秋鷹>
「これは君にあげる」
(舞台へ出ていく夕暮。
差し出されたのは小道具の指輪だった。)
<主人公>
「…………?これは……」
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