江夏 慎夜
02
scene
<帰り道>
(クリスマス当日の夜10時。慎夜が渡したいものがあると言って主人公の家の前で待っていた。)
<慎夜くん>
「はあ?予定があるって言うから俺てっきり家族ととか…!途中何時間も男と二人きりになったってある意味デートじゃないですか!」
<主人公>
「大げさだよ、デートじゃないよ。部活のみんなで映画を見ただけ。チケットが取れなくて2つのチームに別れたから二人きりの時間があっただけで。……先輩は振られたばかりで街ゆく恋人たちにがんを飛ばすし実際ちょっと大変だったよ……」
<慎夜くん>
「な……!そんな会なら俺とでよかったじゃないですか!」
<主人公>
「ご、ごめん、誘われなかったから」
<慎夜くん>
「誘うつもりでした。誘おうとしたら先輩が既に予定入れてただけです。なんで予定入れるかな。俺先輩のこと好きって知ってるくせに。マジなんで?わけわかんねー…。いや、普通に、わかりますけど。でも」
(ボヤつきつつ慎夜はかばんからフワモコ手袋を取り出し主人公の手にそっと着けた。)
<主人公>
「わあ、これくれるの?おお温かい……」
<慎夜くん>
「クリスマスプレゼントです。先輩のために悩んで悩んで決めたんで。大切にしてくださいよ。絶対ですからね」
(強い力で手を持たれ気持ちが伝わるようだ。ふと彼の顔を見ると涙ぐんでいる。主人公は思わずぎょっとした!)
<主人公>
「えっ!ええっ!?慎夜くん!」
<慎夜くん>
「ーーう、うわ!いや!これは何でも無いです!先輩後ろ見て!」
(両肩を持たれて後ろを向かされてしまう。主人公の肩に慎夜の両手がのっている。後ろからため息交じりの声が聞こえた。)
<慎夜くん>
「ああ俺最悪……。最悪のクリスマス……はぁ……。だってすごくデートしたかったから」
<主人公>
「そ……、そんなにしたいなら明日デートする?当日じゃなくなっちゃうけど」
<慎夜くん>
「!!!!……わ、わざと泣いたんですよ、先輩にそう言わせたくて!計画通りって感じです……ほんとに♪」
<主人公>
「(絶対嘘だ…)」