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アンカー 1
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Enatsu Shinya story

「友達の弟 × 主人公」

出会い


入学してすぐ、主人公(屋敷かすみ)はできたばかりの女友達である江夏よなかの家に遊びに行くことに。そこで出会ったのは彼女の弟の江夏慎夜だった。

 

ある日の放課後、慎夜に呼び出された主人公。

いつも非常にそっけなく、まともに話したことがないのに何故と疑問に思いつつそこへ向かうと、彼はこちらを見下ろし自信満々ににっこり笑った。

「先輩俺と付き合いませんか。絶対良い彼氏になりますよ」

驚く主人公!そんなこと考えもしなかったため断るも、彼は断られると思ってなかったのか心底驚いたのちすぐ気を取り直して「大丈夫、先輩絶対俺のこと好きになりますよ!俺にはその自信があります!」などと言われてしまう。
主人公「えぇ…(なんだこの人…?)」


結局引き下がらない慎夜の圧に負け、友達からならと言ってしまう主人公。
その日からというものの「友達の慎夜」に日常的にアプローチを受けることとなるのだった!<スチル01>

出会い-2


週に何度か誘われて、慎夜と一緒に登校・下校するようになる主人公。

物を持ってくれたり、エスコートしてくれたり、困り事を解決してくれたりすることに感謝しつつも、その都度そろそろ付き合おうと言い寄られてしまう。

とある日の下校途中、耐えかねた主人公は慎夜に自分の本音を言うのだった。口論の果てに、「慎夜くんは私が好きなわけじゃないよね。恋してる自分が好きなんじゃない?」と言うと慎夜はひどく驚き、その場を去る主人公を追いかけ問い詰めた。

「いったい俺の何がダメだっていうんですか?」

「そういうところだよ(圧が強い…!)」

「それじゃわかんないんで聞きに来てるんですよ!」

「(なんて言えばいいんだ!)――とにかく、私は気持ちに応えられないからごめんだけど諦めて欲しい」

「はあ、あのですね先輩……それができたら、こんなカッコ悪いこと、聞きになんてきませんよ……」

見るからに不安げで弱々しい声色だ。彼はバツが悪そうにため息をつく。
今までずっと元気で自信満々な慎夜がシュンと折れる姿を見て、ぎょっとする主人公。
実のところ、慎夜は本気で自分と付き合いたいのではなく、面白半分で言い寄ってきていると思っていた。最初はあんなにそっけなかったのに、いきなり機嫌よく楽しげに愛を語られても…と引いていた。私じゃなくて自分が好きなんじゃない?と言ったことを反省しだす。

「諦めるのは無理なんで。先輩のこと好きでいていいですか?」

「!?う、うん。いいよ」
主人公の返事に若干微笑んでその日は帰った慎夜だが、主人公に好きじゃないと言い切られてショックを受けているがわからせまいと気丈に振る舞っているのが丸わかりだ。主人公は少しだけ慎夜の心が見え、彼の存在が印象的になるのだった。

慎夜が去ってしばらくしてチャットアプリ(レイン)にメッセージが届いた。

「ちなみに先輩の好きなタイプってどんな人ですか?」
「(へこたれないな!?)わからない考えたことないよ」
「今考えてください。好きな芸能人でもいいですよ!」

やっぱり慎夜が苦手な主人公なのだった。

仲良くなるにつれて

相変わらず優しくもあり勝手でもある慎夜だが、やみくもにアプローチされることはなくなった。しかし、いつでも主人公を優先するので悪くなってくる。

が、彼の献身は自分以外にも及ぶことに気がつく。彼が所属する生徒会の雑務を率先してこなしたり姉のお願いを文句を言いながら結局聞いたり、目に入るものすべてあれこれ首を突っ込んで面倒を見る慎夜
「(私だけ特別じゃなかった。なんだそうなのか…)」
勉強も友達関係も生徒会も人並み以上の努力をそそぐ慎夜に大変じゃないかと聞くと、「やるなら本気じゃないとつまらないじゃないですか。難しいことの方が乗り越えたとき気持ちがいいってよく言うでしょ」

最初の圧が強くて扱いづらいしんやも、遊びで半端に接していたわけではなく、彼の全力の結果だったんだとわかってきた。主人公は、慎夜くんは色々できて凄い人だけどあんまり器用じゃなさそうだ、と思った。
「あ、今なにか俺に対して思ったでしょう。言ってくださいよ」
「何も思ってないよ?」
「かっこいいとか思ったんじゃないですか?」
「(それを言いたいだけだな!)はいはい、かっこいいかっこいい」
「!!!!」
「わっ、な、なに?自分で聞いといてそんなびっくりすることなの?」
「はい。すげーびっくりしました。やっば、めちゃくちゃしい。ふふふ」

満足そうに上機嫌でどっか行く慎夜の後ろ姿を見て、主人公は思案した。
「(慎夜くんはもしかしてすごくわかりやすい人なのでは)」

※この後クリスマスエピソード有→<スチル02>

◇​

2年目の文化祭の時期、慎夜と主人公は部活動の出し物やクラスの展示の準備でいつになく忙しくなった。前ほど一緒にいる時間が減ってしまう。

主人公はいつも一緒だった彼が急に居なくなって寂しさを覚えていた。

文化祭が一段落し久々に一緒に帰ったとき、最近会えなかったけど寂しくなかったかと聞かれた主人公。寂しかったと答えると、その雰囲気に慎夜はなにやらピンときた。

……あれ?もしかして先輩、俺のこと好きでしょ

思いもよらぬこと言われ驚いた!そして主人公は自分の気持ちに気がつくのだった。いつのまにかすっかり大事な人になっていた。しかし、

「(もし慎夜くんと付き合ったら前みたいに一緒に居れるかも。でも……そしたらどうなるだろう。彼は手に入らないほど燃えるタイプだ)」

そう思うと彼の気持ちに答えることができなかった。

自分の気持ちに気がついたら前のように接することができなくなった主人公と慎夜は少しぎこちなくなってしまった。しかし後日遊園地に遊びに行く運びとなり、久々に以前のように楽しく過ごしてようやく二人の間のわだかまりが溶けたのだった。アトラクションで水をかぶった主人公に準備の良い慎夜がこのため用のハンドタオルを差し出す。

​「先輩ほんと、俺が居て良かったですね」「うん。いつもありがとう」
「とんでもない。先輩が望むだけで一生こうやって感謝させてやりますけどね」「(言い方……)」

機会はいくらでもあれど、結局好きになってしまったことは言えない主人公なのだった

 

告白まで

そんな中、慎夜が「尊敬している教授がいるから隣県のK大学に進学したいと思っている」と聞かされる。慎夜曰く、主人公と同じ大学に行きたいから主人公もK大学に行ってほしいとのことだ!寝耳に水で驚く主人公。

「先輩の学力ではかなり努力しないとダメですね。多分先輩の人生で1,2を争う辛い時期になると思います。でも俺と一緒に乗り越えましょう?苦楽を共にしちゃいましょう!」「苦なの主に私じゃん!」「同じところに行けば大学でずっと一緒にいれますよ」「(無理だろうな慎夜くん働き者だから…)でもそんなに言うなら…」「!マジ?やっっった!今日から勉強しましょう!これが俺が組んできたプログラムです」「これを毎日やるの?む、無理だ……」「無理とかじゃない。やるんです」「(スパルタかも…)」

やりたいことがあるわけでもないが単純に同じ大学は嬉しかった。慎夜があまりに喜ぶのもだから今更やめると言い出せず、頑張ることにしたのだった。

平日休日問わず勉強漬けになる主人公、しかしつきっきりでサポートしてもらって投げ出しづらかった

そして一年。
「(こんなに一緒にいて、両思いになった途端、関係がダメになることってあるのだろうか)」そう思うほどふたりは親しくなっていた。

合格発表をパソコンの前で待つ。結果は現役で合格していた。驚いて腰が抜ける主人公。模試の結果はギリギリ合格ラインだったのに、奇跡だと思った。慎夜にお礼を伝えると…。

「おめでとうございます先輩!まさか現役でいくとは。正直絶対無理だと思ってました。先輩が一浪して、俺と同級生になる予定だったのに。」「(ムカつくな!)」​「……う。すみません、なんか嬉しくて。なんか……やべえ俺が泣きそうとか。先輩好きです。惚れ直しました。可愛くて賢い。スゴイ。ーーーー告白の返事は卒業式にください」「今じゃなくて?」「先輩そう言うロマンチックな思い出、結構好きでしょ?答えは「はい」が良いです。できれば」

言葉の最後に若干の自信のなさが見えた。そういえばむやみに好きだとか付き合ってほしいとか言われなくなっていた。主人公の返事はもう決まっていた。

卒業式の日。

自分の気持ちを伝えると慎夜は安心したような嬉しい気持ちが隠せないようなごちゃまぜの感じで笑った。
やっぱりそうだと思ってた!先輩は絶対、俺を好きになるって最初からわかってました」「あっそう。ふーん?」「……なんですかその目。結局そうなったくせに」「ふふふ。何も言い返せない」「その笑った顔好きです。ずっとそんな感じで居られるように……俺が一生先輩を幸せにします」「……うん。お願いします」

ぐっと抱き寄せられ、持ち上げられ、足が地につかない!バランスを取ろうと慌てる主人公に感動しきった様子の慎夜がつぶやいた。

「……!……あー嬉しい……!!今日は俺の人生最高の日かも。それからこれからずっと、最高の日です。だって……あなたがいるから
 

エピローグ

大学生になってしばらく経つ。慎夜と出会ってもう6年になる。

学部が違うのもあり、お互い課題にゼミに忙しく思ったほど会えない日々が続いた。就職活動も始まる――主人公は漠然と将来の不安をいだきつつ、学校帰りを慎夜と過ごしていた。出会って三年、付き合って三年。すっかり大人になった彼だが、履歴書とにらめっこする主人公を心配そうに覗く慎夜の顔や彼の仕草の節々に出会った時の面影がある。ふと彼がこちらを見て目があった。

そこに、どんな未来があっても変わらないものが見えた。

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